ロータリアンの広場


「WASPとロータリー 2」

2680地区 PDG 田中 毅(尼崎西)
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2680地区 PDG 田中 毅

 アングル人は、古代ローマの時代には、現在のデンマークやドイツ北部に住んでいたゲルマン民族の一派であり、その後、北海を船で渡ってブリテン島に侵入しました。これが英国における最初のアングロ・サクソン人であり、彼らの言葉が英語の基礎となりました。 アングロ・サクソンとは、「アングリア(イングランド)のサクソン人」という意味です。

 現在、アングロ・サクソン諸国とは、英語を公用語とする白人主流派のイギリス、アメリカ、カナダ、所謂、White Anglo-Saxon Protestantのことを意味し、人類学的にはルーツに遡るゲルマン人やケルト人などのヨーロッパ諸国は、アングロ・サクソンからは除外されています。 現在の資本主義は、ライン型資本主義 (ヨーロッパ型資本主義) とアングロ・サクソン型資本主義 (新資本主義) とに大別されます。前者を採用している国にはドイツ、フランス、北欧三国、日本が含まれ、後者にはアメリカ、イギリスが含まれます。

 ライン型資本主義は、修正資本主義の延長線上にあり、ドイツなどのヨーロッバの先進国が採用している資本主義の形態で、お金以外の、仕事自体の充実感や、社会構造や組織構造や、権力・報酬の公正な配分や、友情、職場の結束、取引関係やその他の社会関係から生まれる義理などの共同生活の側面を重要視します。 株主だけでなく従業員・取引先・顧客・社会など利害関係者を幅広く重視します。終身雇用・年功序列制を採用し、賃金格差は比較的小さく雇用は安定しています。富と働く意欲についての考え方以外にも、企業をそこで働く人々の公共的機関であると考えます。 強い製造業部門を維持し、平等主義的な社会であり、所得格差を小さく止める福祉国家の制度を目指しています。社会福祉を重視するために、政治的には大きな政府になります。 現在EUが目指している経済政策は、まさにこのライン型資本主義であり、イギリスがEUから離脱した理由も、ここにあります。

 シェルドンの経営学に基づくサービス理念はまさしく、ライン型資本主義そのものです。 アングロ・サクソン型資本主義は、アメリカとイギリスで典型的にみられる資本主義の形態で、「市場万能主義」と「小さい政府」と「金融万能主義」を基本理念に掲げています。企業は金融市場から直接資金を調達し、株主利益の最大化を優先します。業績が悪化した場合、株主価値を維持するために積極的に人員を削減するため、雇用は不安定になります。賃金制度では成果主義をとり、自己責任を重視します。

 何ごとも利益追求のチャンスと捉えて、ゼロから巨万の富を目指すサクセス・ストーリーによって、人々の競争意識を駆り立てますが、他人のことを顧みない個人主義、投機性、バブル化というリスクがあります。イギリスのサッチャー首相、レーガン、ブッシュ大統領の政策、さらに現在ではトランブ大統領のAmerica firstの政策がこれに相当します。 しかし、昨今では、ライン型資本主義を標榜するヨーロッパや日本でも、新資本主義に弄ばれて、超高速のコンピューターを駆使した投資に一喜一憂する人が激増してきました。世界中の富裕層や金融機関からファンドを募り、フリードマンやハイエクの真似をして、現物の伴わない先物で巨額の取引を繰り返すのですから、破綻する可能性も高いことは、リーマン・ブラザーズの例からも明らかです。
(2018.01.26)

=== 「WASPとロータリー 1」 ===


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